ウルトラマラソンを楽しむブログ

マラソンを楽しむために備忘録代わりにブログを作りました!

過酷すぎた横須賀・三浦100kmウルトラマラソン Part5(終盤戦)

長々と連載させてもらっていた

『横須賀・三浦100kmウルトラマラソン

いよいよ、最終回となります。

 

前回まで、苦痛に耐え

ウルトラマラソンを走るコツも見つけ

なんとか、82.9km地点のエイドまでたどり着きました

しかし、ここから、想像を絶する苦痛を迎えます。

 

果たして、どんな状況に陥ったのでしょうか?

 

なお、今までの記事はこちら

kaynerhythm17.hatenablog.com

kaynerhythm17.hatenablog.com

kaynerhythm17.hatenablog.comkaynerhythm17.hatenablog.com

 

悪夢の湘南国際村

第16エイド【立石公園】(82.9km)地点で

少しでも回復をし、なんとか足を引きづりながら出発。

次のエイドでは妻と友人が出迎えてくれるので

「そこまではなんとか気力で向かおう!」

と、気持ちをもう一回入れ直し、足を前に進めます。

 

この【湘南国際村】エイドまでの道のりは

「だいぶ坂道がキツイ」

と事前情報で仕入れていたので

"それなり"に覚悟はしていました。

 ただ、"それなり"の坂じゃなかった。

目の前にあるのは延々と続く激坂・・・。

 

あとあと、調べてみるとここの坂はサイクリストには有名で、この坂でヒルクライムの練習をしたりするポイントでした。約、3kmほど続く、傾斜9%の登り坂。言葉じゃ全く伝わりませんが、メチャメチャきつかった!!

 

しかも、コースがいやらしいんです。

湘南国際村秋谷入口交差点」から坂を登りだし

2kmほど登ると、

坂の途中の左側に第17エイド【湘南国際村西公園】エイドがあるんですよ。

エイドの人が、

「もう少し、先に行って、折り返してからエイドです!」

なんて案内してくれるから、

"もう少しだけ先"だと思うじゃないですか。

 

でも、どんなに坂を登ろうと、足を進めても

全然終わらないんですよ。

視界は延々と上り坂。

 

「折り返しはまだか、折り返しはまだか」と思いながら

坂道を登っていくんで、ネガティブ思考になってしまい

坂を登るのがメチャクチャキツイ。

背を丸め、ゾンビのように前傾しながら足を引きづり進んでいきます(この姿勢がウルトラマラソンを走る中で一番やってはいけない走り方です)

 

そして、坂を登りきったと思ったら、前方に見えるのはまだ続く道・・・

 

正直、この時点で心が完全に折れました。

もう無理です。走れません。

制限時間内で完走することも絶望的。

走る意味は見当たらない。

「この酷暑の中、俺はよくやったよ。」

「練習量も少なかったから、DNFでもしょうがない。」

「"完走"という結果が出せなくても、頑張ってきた"経過"があるんだから胸を張ってリタイアしよう。」

「妻も頑張りを認めてくれるだろう。」

 

そう、思いながら、なんとか折り返し地点を通過。

下りでは足がちぎれそうになりながらも、

なんとか歯を食いしばりながらジョグで降りていきます。

途中、一緒にエントリーした職場の仲間が

坂道を苦しい顔をして登ってきたので

残りの距離をアドバイスしつつ、

そこで自分はリタイア宣言。

「この先のエイドで終了します。」

はっきりとそう言いました。

もう白旗です。

 

リタイア宣言をしたからか、少し気が楽なり

坂道をなんとか下って、ようやくエイドに到着しました。

 

復活(?) 第17エイド【湘南国際村西公園】(88.2km地点)

直前の激坂で心も身体もボロボロになった自分は

リタイアするつもりでこのエイドに

フラフラの状態で入ってきました。

しかし、最強マネージャーはそんな状態だと知らず。

懸命な介護でサポートをしてくれます。

 

「もう一歩も動けない〜」と倒れこんでる自分の

首筋や太ももをヒヤロンで冷やしてくれたり

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せっせと栄養補給用のドリンクや補給食を準備してくれます。

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そして、心が折れていた自分に

「大丈夫!まだ頑張れるよ!制限時間は厳しいかもしれないけど、行けるところまで頑張って!」と熱い激励をしてくれます。

 

この場所で待っていてくれた妻も友人も、俺がここでリタイアするなんて思ってもいないし、ここから走り出すことを疑問にすら思っていない。そんな純粋で無垢な気持ちに応えないわけにはいかないでしょう!

リタイアなんかせず、最後まで走る事に決めました!

 

10分ほど休み、補給食も入れたおかげで

体力が回復したのもあるけど

何より回復したのが、気力!

 

妻と友人が激励の言葉をかけてくれなかったら

絶対に走り出すことはできなかった。

頑張って!の声がこれほど力になるとは思わなかった。

制限時間は無理かもしれない。

19時の段階で打ち切られ収容されるかもしれない。

でも、それまで悪あがきしよう。

せっかく、ここまで応援に来てくれた二人のために

最後の最後まで、意地を見せよう!

ボロボロで無様でカッコ悪くても、それでも前に進むのが俺なんだ。そんな生き様を二人に見せよう!

 

いや、生き様を見せるのは二人だけじゃない。

自分にも見せるんだ。

"見栄"とか"飾り気"とかそんな化けの皮を捨てた、

"本当の自分"というのを

自分自身でちゃんと直視するんだ!

 

身体の奥から沸き上がる思いを抱き

もう一度立ち上がり、第17エイドを後にし、

ゴールのソレイユの丘を目指し、走り出しました。

 

<< 激走! >>  終盤戦(第17エイド88.2km〜ゴール)

身体というものは本当に不思議なもので、

あんなに「もう無理」と思っていたのに

激励の言葉と献身的な介護を受けたら、やる気が湧き、

足が今まで以上に進むようになりました。

今まで、あんなに足が動かなかったのが

嘘みたいに走ることができます。

1キロ6分ペースで走ることができ

自分でもビックリ。

 

この時、時間は18時20分。

残りの距離は11.8km

19時までのゴールは無理なのは分かっている。

目標を完走というよりは

「19時までに95kmを走る」と決めました。

このことが、もしかしたらモチベーションアップになり、足が動いたのかもしれません。

先ほどのペースとはうって変わって、快調!足が動く!

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そして、快調のままペースが変わらず

目標だった95km地点までに到着

時計の針は18時59分。

本当にギリギリでした。

でも、一つの目標を達成できて気分的には満足です。

 

足はまだまだ快調で。動く。

制限時間はもう終了だけど、

せっかくここまで来たので

止められるまで、あと5km最後の最後まで走ろう。

気力も足もまだまだいけます。

 

日も暮れ始め、周囲も暗くなってきましたので

携帯のライトをオンにして明かりを照らしながら走る。

 

「残り3km」の表示が見えてくる。

 

いつ、大会関係者に「もう終わりですよ」と打ち切られ

収容車に乗せられてしまうか見当がつかなかったので

とにかく、ペースを上げて、逃げ切る作戦。

残り3kmはほぼ平坦が続くことが分かっていたので

ペースも変わらず、走り続ける。

 

「残り2km」の表示が見えてきた。

やっぱり、足はキツイ。身体全体も苦しい

でも、もう止められない。

ゴールが現実になってきたからだ。

あと2km。歩いても20分あればゴールできる。

でも、ここまで来たら意地だ。

ランナーとしての意地を。

そして自分の生き様をここで見せるんだ!

 

「残り1km」

もう、ゴールまであとわずか。

最後に急坂があるけど

 足も気力も切れていない。問題はない。

むしろ、早くゴールにたどり着きたくてワクワクしてる。

一歩一歩を大切に、足を前に出し、

今まで走ってきた100kmの道のりを

しっかりと噛み締めながら前へ進む。

 

そして、ソレイユの丘の急坂を登ると

ゴールの明かりが見えてきた。

今までは熱気があったんだろうが制限時間を過ぎているため、かなり静まり返ったゴールだ。

もう、撤収作業も始まっている。

制限時間の14時間ではゴールできなかった。

でも、俺は紛れもなく100kmを走ってきた!

胸を張ってゴールをしよう!

 

ラスト100m、最後の力を振り絞り、

そしてゴールのゲートをくぐる!

ゴールテープもなく、注目も拍手もない、

静かなゴール。

でも、自分の中では達成感でいっぱいのゴールだった。

 

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結局、時間は19時間33分

制限時間を30分ほど過ぎちゃったけど、

ちゃんと時計の針を進めてくれた関係者には感謝です。

 

ゴール時はサイレントな感じでゲートをくぐったけど

妻や仲間達もちゃんと待っててくれて

ねぎらってくれました。

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マグロ丼も美味しくいただきました!

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走り終えて

第3回 横須賀・三浦マラソンもこれで無事終了!

100kmの完走率はなんと31.6%!?

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やっぱ、あの暑さじゃ、厳しい戦いだよね。

今回、自分は残念ながら完走者には入れなかったけど

100kmを走らないと見えないものが沢山ありました。

 

誰が言い出した言葉かはわからないけど

『マラソンと人生は同じ』です

 

みんなゴールを目指して、一生懸命に前に進む。

時には苦しく、歩いてしまったり、

立ち止まってしまう時もあるかもしれない。

でも、その時は仲間や大切な人のサポートがあって、

もう一度前に進む勇気をもらえる。

決して、一人ではゴールまでたどり着けない。

家族、仲間、運営の方々、ボランティアの方々、偶然居合わせた観光客。

いろんな人から、いろんな声援をもらい前に前にと進んで行く。

とはいえ、足を動かすのは自分次第。

どんなに周りから声援をもらおうが

それを力に変えられるか、諦めるかは自分次第だ。

 

人生だって同じだ

一人では生きていけない。

周りのサポートがあって、人は生きていける。

でも、そのサポートのありがたさを忘れてしまっては、

やはり前に進めなくなってしまう。

 

今回のウルトラマラソンでは

100kmという距離を走ることで

生きるために大切なことをもう一度思い知らされた。

そんな素敵なマラソンになりました。

 

結論

やっぱりウルトラマラソンは面白い!